ペン一本と、メモ帳

好きなものを好きなだけ

アクション映画好き視点で見た「ピーターラビット」の感想(少々ネタバレあり)

久しぶりに一人映画館を堪能してきました。

Youtubeで予告編を見たときは、かわいい動物のほのぼの映画かと思って全く興味のなかった「ピーターラビット」。なぜ見に行く気になったのかというと、Twitterで「アウトレイジ」とか「プライベート・ライアンを参考にした」「死人が出るホームアローン」「実質トランスフォーマー」などの物騒な単語が並んでいたからです。あれ、これ自分好きなやつじゃね?と思って見に行くことに。これ、かわいいうさぎさん目的で見に行くと失敗するやつですね。自分はアクションとCGが見たかったので結果そこそこ満足でした。

以下ネタバレ含。

主人公一家がマフィア

うさぎのピーター、その妹たちと従兄弟の5匹は、組織的に近所に住むマグレガーさんの畑に入り野菜を盗むという悪行を繰り返していた。見張りを立て、耳を使ったジェスチャーで実行犯であるピーターへ指示を出すというかなり組織的な犯行である。当然作った野菜を盗まれるマグレガーさんも本気でうさぎたちを捕まえにかかるのだが、ある日生活習慣の悪さがたたって心臓発作で死亡する。(ここまで5分くらい)。家主がいなくなった家で畑を荒らしまくり、家の中も好き勝手使ってパーティーをしていたピーターと近所に住んでいる動物たち。そこへマグレガーさんの家を相続した親戚のトーマスがやってくる。

ここでピーターはじめとする動物たちがかなりたちの悪い害獣であることが説明される。「うさぎがかわいいほのぼの映画」とか思って見に行った人は序盤で絶望するのではないだろうか。全然かわいくねぇ。

それにしてもCGでの毛皮のもふもふ感がすごい。動物の擬人化もいい感じで、本来の動物らしさを残しつつ、手は5本指になっていたりと芸がこまかい。顔は本物のうさぎに見えるのに、人間みたいな表情をするのも愛嬌がある。キャプチャしているんだろうけど、表情がすごく自然で関心した。最近のVFXはすげぇな。室内の影も、どこまでがCGでどこが実写なのかわからないくらい自然だったので感動した。

中の人の話その1 トーマス役のドーナル・グリーソン

ドーナル・グリーソンといえばディズニー版スターウォーズのハックス将軍(ハリポタ見てない勢)。ハックス将軍は憎めない悪役という感じでしたが、ピーターラビットのトーマスもそんな感じ。うさぎ視点で見れば敵なんだけど、決して悪いやつではないのです。ちょっと変だけど。

グリーソンは「エクス・マキナ」にも主役で出ていました。あのころからちょっと注目してた。肌めっちゃ白いなー髪キレイだなーとか思いながら。エクス・マキナは同じくスター・ウォーズに出ているオスカー・アイザックも出ているので、エクス・マキナは実質スターウォーズと行っても過言ではない(過激派) 。「最後のジェダイ」で二人が会話するシーンがちょっとだけあるんですけど、エスク・マキナ思い出して笑いそうになりました。エクス・マキナについてはいろいろ言いたいことがあって、おすすめ映画というわけではないのですが、中の人ファンとしては見ておいて損はないかと。

話を戻すと、トーマスはロンドンにある百貨店のおもちゃ売り場で働いている真面目なサラリーマン(だった)。仕事に力を入れすぎて部下に引かれるくらいの熱心さ。トイレの水を飲もうとしていたのは笑った。しかし、仕事のできないアホな同期がコネで自分より先に昇進してしまい、キレたトーマスは暴れて店を破壊し、謹慎?することになる。このへんでトーマスがキレたら手がつけられないヤバイ行動力を持っていることがわかる。ここのグリーソンの演技力すごかった。ああこの人、真面目だけど変な人やらせたら間違いないんだなと確信した。スターウォーズでもその兆候あったけど。優秀だけどどこか抜けてるイメージになってしまった。

中の人の話その2 デイジー・リドリー

デイジーかわいいよデイジーデイジー・リドリースター・ウォーズのレイ役の子です。かわいい(何度でもいう)。やっぱりこの映画も実質スターウォーズなのでは(過激派)。
彼女はピーター兄妹の三女のカトンテールの声をあててます。ピーターの妹達は三つ子なのですが、長女ぶりたいフロプシー、偉そうな長女が嫌いな次女のモプシー、肉体派で暴力的なカトンテール、という家族構成。カトンテールやべーよ。野菜を武器に雄叫びをあげながらトーマスに挑んでいく姿はアマゾネスのよう。デイジー・リドリーもかなりの演技派なので声だけでも迫力が伝わってきます。かわいい。

メタい要素の数々

動物が服をきているとか(ズボン履いてないのは気にしたらだめだよとか言う)、英語で喋っていることとか(しかも人間に通じる)をさりげなーくネタにしてくるあたりがメタい。ロンドンの名所を自慢するのもイギリスぽくて笑った。

トーマスはかなり重度のブラックベリーアレルギーであるらしい。それを聞いたうさぎたちは「好き嫌いはよくないぞ!」「いや、体質で食べられないのは仕方ない」からの「だから、抗議しないでね(視聴者に向かって)」というメタ発言。こういうのOKなんだ…。いや、最近はそういうの厳しいからなにもフォローがないといろいろと面倒なことになるのは理解できるのだが、まさかこの映画でそう言う演出があるとは予想外だった。おもしろかったけど、好き嫌いは分かれるだろうなぁと思った。

あと、実写とCGだけかと思っていたのですが、原作風のアニメーションパートがあったのもよかったです。自分はとくに原作に思い入れがあるというわけではないけれど、見たことはあるレベル。あのアニメーションだけで映画つくるのもアリなのでは?と思ってしまった。

アクション

うさぎが主役なのでアクションはほぼCGなんですが、とても爽快で見ていて気分がいい。トランスフォーマーを見ているときと同じような気分。「実質トランスフォーマー」というあのTwitterコメントは間違いなかった。そしてそのCG相手に(実質)一人で格闘するドーナル・グリーソンもといトーマス。すげーよグリーソン。うさぎと人間が本気で殴りあうというシュール極まりない光景をコミカルに演じる彼の演技力に会場からは何度か笑い声があがっていました。隣の席はおばあちゃん三人組だったのですが、トーマスがひどい目にあうたびに「あらー」「まぁ」なんて口にしていたのが和んだ。そういえば客層は年配の方が多くてマナーが良かったので気分良く映画が見れました。
暴力的とは言われつつも、流血沙汰になることもないのでお子様連れでも安心してみることができます。「死人の出るホームアローン」というよりは、「けが人が出ないトランスポーター」みたいな感じですかね。

それにしても「運良く死人がでなかった」だけであって、2回くらい本気で殺しにかかっていたのは笑いました。一回目は電気ショックで心停止からの、たまたま運良く蘇生。二回目はトーマスがアナフィラキシー対策にアドレナリン注射を常備していて助かっただけなので。

字幕版見たんですが、トーマスにぶつけていたブラックベリーがなくなった時にピーターが「No, ammo!」って言ってて草生えた。軍隊もので弾切れしたときによく言うセリフです。ここは戦場かな。まぁ実際に爆薬も飛び交っていたのであながち場違いでもないセリフなのかもしれない。このあたりがおそらく「プライベート・ライアンを参考に」して作ったところなんでしょう。

不満

スタッフロールの後に、一般の人から募集したペットのうさぎの写真が流れるのですが、正直、いらない。なんだか結婚式で付き合ってから結婚するまでの二人の歴史動画を見せられているような微妙な気分。かわいいんだけど…幸せなのはわかるんだけど、映画館でそれやる?みたいな。結局飼い主の自己満足じゃねぇか。いや、うさぎかわいいのはわかるよ?自慢したいのもわかるよ?でも映画館でやる必要性が全く感じられなくてもやもやした。インスタでやってくれ。

まとめ

以上です。