ペン一本と、メモ帳

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万年筆とぼく:エラボー購入レビュー!

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先日、ついにエラボーを購入しました。
長年憧れていたペンをついに手に入れて、今はとても満足しています。

購入場所

丸の内オアゾ丸善。 初めに世界堂本店や銀座の伊東屋にも行ったのですが、常連さんやらお高そうなスーツの年輩の方ばかりで近寄りがたく、チキンな自分は一通り眺めるだけで帰ってきてしまったのであった…。
一方丸善は、大学生っぽいお兄さんや一人で来ている若い女性、小学生の子供連れやプレゼントを選ぶ紳士などでワイワイしていたので近寄りやすかったです。店員さんも多くてすぐに対応してもらえました。
通販だと2万以下で買えるのは知っているので定価で買うのはためらわれたのですが、仕事の都合上受け取りのタイミングが難しかったり、試し書きしたかったとか、すぐに使いたくて仕方がなかったとかでそのままお持ち帰りしました。
この差額の出費は痛い。しかし、代わりに大いなる満足感を得たうえに、激しい物欲から解放されました。まぁ、早めのクリスマスプレゼントってことで…。

見た目

金属軸の赤、ペンのサイズはSF。
特徴的なとがったペン先に、最低限の刻印しか掘ってないシンプルなところに好感が持てます。14Kですがメッキ加工されているので銀色です。
色は黒では普通すぎてつまらん、かといって青は好みの青ではなく、茶と赤を比較して赤にしました。 もし、もう少し濃い茶色だったらそっちを選んでいたかもしれないですね。金属軸は(黒以外)キラキラした光沢があってとても綺麗です。

しかしキャップを占めた状態の外見は、これといって特徴がなく、普通。その点では海外製万年筆に劣るのかなと思います。実際、見た目だけなら1万円以下の海外製の方がいいと思います。

書き味

ちょうど1年ほど前にYoutubeに上がっていたエラボーによるカリグラフィー動画や、持っていない人が書いたであろう適当な紹介文のおかげでよく誤解を受けそうですが――実際店頭で触ってみるまではよくわかっていませんでした――エラボーは十分普段使いできる万年筆です。
それまでステンレスのペンしか使ったことのなかったので、14金のペン先はとてもやわらかく、ストレスなくたくさんの文字を書くことができます。また、どんなに力を入れてもカーボン紙の2枚目にうっすらとしか転写できない自分の筆圧には、金属軸の重さがちょうどよく、意識してペンを浮かせれば細い線、力を入れれば太く濃い線を引くことができます。
店頭で樹脂軸と比較させてもらったのですが、ペンの真ん中(エラボーでいうと、ネジ部分の上)を持つ自分には樹脂は軽すぎて、金属の重さが丁度良かったです。
逆にペンの先を持つ人にはかなり重いと感じるはずです。この辺は完全に自分の使い方に合うかどうかなので、ためし書きしてよかったと思う理由の一つです。

コンバーターとインク

付属のCON-70はその容量の多さが大きな特徴でしょう。そしてその素晴らしいコンバーターを使うことができるという点で、エラボーの金属軸を選ぶということはありだと思います。樹脂軸のエラボーではCON-70は使えないからです。
エラボーはインクフローがとてもよく、またそのペン先の特性から、FであってもM程度の字幅まで書くことができます。そうするとさらにインクの消費量が増えます。
初めにカートリッジインクを入れてみたのですが、あっという間にインクがなくなりました。買ったばかりのペンを慣らすために毎日ルーズリーフに落書きしていたとは言え、1週間持たずに空になりました。カートリッジより若干量の多いCON-70はもはや必須といってもいいでしょう。
プッシュ式のコンバーターは最初、うまくインクが入らずに苦労しましたが、慣れてしまえば楽しいですね。
ペン先をインクに浸したまま、インクがいっぱいになるまで何回かプッシュするだけです。中にインクがある状態で押しても大丈夫なのか?と思いましたが、瓶に突っ込んだままなら大丈夫でした。

プレラとの比較

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ほかに持っている万年筆タイプのペンがプレラとデスクペンしかないので、プレラとの比較感想を書きます。
プレラはたしかペン先がステンレスなので、書き味は当然カリカリしています。よく、シャープペンのような書き味と表現されるのを見ます。しかしその摩擦感が細かい文字を書くのにはぴったりで、手帳用には最適です。
プレラFは5mm方眼にきっちり収まる文字を書くことができますが、エラボーSFでは少し気をつけないとはみ出ます。力を入れなくても、プレラFよりは太い線になります。
逆に言えば、プレラFより少し太いのがほしいけどMじゃ太いし、普段用にも使いたいな…という優柔不断な自分にはエラボーはぴったりなのです。

エラボーである理由

動画を見てカリグラフィーをしたくなったわけではありませんw
変わったものが好きなので、特殊なペン先なのにキャップを閉めれば地味な外見、という部分に物欲がそそられたということ。
また、もっと遡ればリニューアルエラボーが登場したときに公式ページで見て、「日本語を書くのに適している」という文言に惹かれたことがきっかけです。
実際使ってみるとその理由がよくわかります。ノートなどに細かく書くよりは、余白をたっぷりとって大きめの文字でさらっと書くと、やわらかい筆致を存分に発揮できると思います。
もちろん、普通にノートに書いても手が疲れないし、抑揚が出るので十分にその書き味を楽しむことができます。

何かと誤解を受ける

エラボーを購入する前、何度か匿名の賢者たちが集まる場へ赴き、意見を伺ったことがあります。 「普通に使えるから大丈夫」という人もいれば、「エラボーは特殊なペン先だから特別なときにしか使えない特別な万年筆なんだ!」と主張する人もいて、様々ですw
また、例のファルコン動画を紹介していたどこかのまとめサイトのコメントで、「やっぱ万年筆ってアルファベット向きだな」とか、「日本語書くなら万年筆じゃなくていいよね」という意見を見かけたので、あの動画は大きな誤解を生んだよなぁ、と若干悔しい思いをしている次第であります。 ちなみに、正規品エラボーであの動画のようにペン先を広げるにはかなりの力が必要なので、奇麗に文字を書くのは難しそうです。

結論

「スタンダード」とか「普通」が好きな人には興味ないんだろうなぁと思います。
自分は変わったものが好きだし実用性・機能性を求めていて、且つ国産好きなので同じような感性の人には是非ともお勧めしたい一本であります。
店頭で買ったら、おまけのコンバーターとカートリッジの色を3種類から選ばせてもらえました。(通販だとランダムなんだろうか…?) カートリッジは「黒、青、ブルーブラック」、 ケースは「黒、赤、アイボリー(?)」でしたので、赤いケースに赤いペンはないだろう…と思い、結局どちらも黒にしました。見た目チープですが、ちゃんとしたケースを手に入れるまではこれで十分かと。パイロットのロゴ入りです。

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なんとなく自作ストラップを取り付けてみた

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写真のセンスがない……

2014/1/8 追記、修正

2014/6/3 書き味と筆致の追加記事: エラボーの筆致を曝してみる - ペン一本と、メモ帳