ペン一本と、メモ帳

好きなものを好きなだけ

アセクシャルでXジェンダーな生き物の生態について

普段こういうことについては話さないのだが、先日この件で人を傷つけてしまったのでなんとか認知を広めて行こうと思った次第である。あと自分も結構ショックなので。人生つらいね。

自分はXジェンダーである。そしてアセクシャルでもある。この単語の意味についてはググればすぐに出てくるのでここでは説明しない。
どちらも「自認」するものなので、たとえば病院などで診断されるとかそういう類のものではない。マジョリティの人たちだって自分の性別を「診断」してもらうなんてことはしないだろう。そんなの、生まれつきわかっている人が大半のはずだ。

アセクシャルについてのエピソード

自分がアセクシャルであることを自覚したのは二十歳を少し過ぎたときのことである。世の中「一度もモテたことがない」「異性と付き合ったことがない」と嘆く人をネットではよく見るが幸いなことに(?)自分はモテる側の人間であった。

「なんだリア充かよ○ね」

わかる、そう言いたい気持ちわかるよ。でもまぁ聞いてくれ。
自分にとってモテるということは良くないことなのである。人から好意を寄せられることがうれしくない。もちろん、嫌われるより遥かにマシではあるのだが、うれしくはない。すべての人類とビジネスライクな関係でいたい。友人以上の関係になることはストレスでしかない。

その昔、若かりし頃、まだアセクシャルという言葉も知らなかった時代に「恋愛経験が全くないのもどうかと思う」という短絡的な思考で、異性と付き合ったことがある。当時まだ10代だったので無知だったことと、相手のアピールがあまりにも熱心で可哀そうに思ったのがきっかけである。結果は1年で別れた。もうなんていうかものすごく「大好き、一緒にいたい。毎日連絡したい」というタイプの人で自分には荷が重すぎた。当時はストレスで毎日胃が痛かった。

それ以来、男女関係になりたいという申込みはすべて却下している。経験はないけど同性相手でも却下するだろう。先に断っておくと、みんな紳士的ないい人であった。嫌いじゃない。でも生物的に無理なんだ。リーチ内に入らないようにしよう。それ以上近づくとお互い傷つくことになる。
完全にエルサ状態。

「毎日連絡しなければいいんでしょ?たまに会うだけならいい?どうやったら好きになってもらえるの?嫌なことはしないし何でもいうこと聞くよ」

これよく言われるんだが、そういう問題じゃない。問題はお前じゃなくて俺なんだよ。お前の誠実さは俺の心に一ミリも響かないんだよ。もうティーンエイジャーじゃねーんだよ。ついでに言うと、お断りしたあとにショックを受けている相手を見てもなんとも思わない。「あーまたやっちまったな…」
引退した元殺し屋が過剰防衛した状態。どっちかというと、女扱いされることに対しての不快感のほうが強い。これについては後述。

まぁ、このエピソードを書いたのは「モテないからアセクシャルだって言い張ってるだけでしょ?」に対する体験を持ってした反論を投げるためである。読んでて不愉快に思った人には申し訳ないが、事実なので書いておく。

Xジェンダーについて

これは最近になって自覚したのだが、自分、Xジェンダーだった。

きっかけは職場にXの人が入社するという話を聞いて、事前に知識をつけておこうと調べたことである。「あれ?これ自分じゃん」

確かに子供のころから自分の性別に違和感があった。でも男性になりたいわけでもない。でも、女性扱いされるとものすごく違和感というか、苛立ちのようなものを感じる。

ただ、世間との摩擦を避けるために身体の性別に合わせた格好をしている。

もう何年か通っている美容院には同年代くらいの、ボーイッシュな格好をしている美容師さんがいた。染めた短髪にピアスが似合っていておしゃれだなーと思っていたのだが、その人が先輩美容師から「もっと女子らしくしなさい」と言われているのを聞いてしまった。なんかそれが悲しかった。いつの間にかその人は髪を伸ばしていて、スカートを履いているときもあった。なんか複雑だった。

と同時に、見た目の性別にそわない格好は不要な摩擦が発生するということを学んだ。なので服装はなるべく中性的に、首から上は女性的に、を維持している。正直鏡をみるのがツライ。今は好きな歌手と同じ髪型にするというライフハックを使い、鏡を見たときのダメージを軽減している。鏡を見るたびにその歌手のことを思い出せるので。

だが中途半端に見た目の性別に合わせた格好をしているせいで、上記のような勘違い君に求愛されて精神を著しく消耗することになる。基本的には「これ以上近寄るな」オーラを出しているつもりなのだが、稀に距離感の読めない人がそれを踏み抜いてくる。その度につらい。多分相手もつらいと思うんだけど、そういう風に見られてるんだ…と思うと自分もつらいんだよ。理解してくれとは言わないけど放っておいてくれ。

まとめ

まぁそんなわけで、自分の性別に対する違和感と、アセクシャルであることから親密な人間関係を築くことができない。

「運命の人とまだ出会ってないだけだよ」

あ、その言葉聞き飽きたのでもういいです。

別に誰かと親密になりたいわけじゃない。老後の心配をするほど長生きするつもりもない。だから、老後のためにアセクシャル同士で友情結婚したい、という人の考えにも賛同はできない。一人で生きていけるし、ダメだったときに適当なところで人生を終了させる手段はいくつもある。

そもそも自分には「一人で寂しい」感情が理解できない。恋愛感情も理解できない。というか殆どの場合、人の感情が理解できない。 映画や小説で得た知識があるので、多少人間らしい振る舞いはできる。この時はこう言えば穏便に済むんだな、というのは知っている。しかしこれのために何人かの人間を勘違いさせてしまってダメージを与えることがある。一体どうすればいいんだ…教えてくれ五飛。

「恋愛しないのはもったいないよ、人生損してるよ!」

うるせー!!

「そんなんじゃ人生楽しくないでしょ?」

楽しいから生きてるわけじゃねーんだぞ!

多少言葉遣いが悪くなってしまったので、不快に感じられた方がいたら申し訳ない。でも自分もつらいんだ。鬱になったのはこの性格にも原因があるのかもしれない。機会があったら病院で相談してみよう。今度の担当医は話を聞いてくれそうな感じなので、試してみることにする。